ミノサイクリンのうつ病に対する効能を調査する研究所

ミノサイクリンはアメリカの研究所で開発された抗生物質の一種で、現在では医薬品として広範に用いられています。肺炎やコレラや膀胱炎などのほか、クラミジア感染症の治療にも有効であり、またニキビの治療薬としても有名です。多剤耐性ブドウ球菌にも効果を発揮しますが、むやみに使用すると耐性を獲得されることも多いため、用法や用量を守ることが重要です。
ミノサイクリンには殺菌効果のほか、神経を保護する作用があることも知られています。そのメカニズムは十分には解明されていませんが、関節リウマチやパーキンソン病の症状を軽減するという研究結果があります。また最近の研究で、ミノサイクリンがうつ病にも効くことが分かってきました。今のところは世界各国の研究所で、抗うつ薬としての臨床試験が行なわれている段階です。日本で実施された試験の結果でも、うつ病が実際に改善したというデータが出ています。ミノサイクリンの抗炎症作用や神経保護作用が、うつ病を改善するとされていますが、現時点では仮説の域を出ていません。しかし将来的には、うつ病や統合失調症の薬としてミノサイクリンが採用される可能性もあります。
アメリカ・カリフォルニア州の研究所では、ミノサイクリンを脆弱X症候群の治療に用いる研究も行なわれています。脆弱X症候群はX染色体の異常が原因となる先天的な障害で、精神遅滞や情緒不安定、ADHDなどの症状が見られます。これらの子どもにミノサイクリンを投与したところ、言語獲得能力やコミュニケーション能力が向上したとされています。ミノサイクリンはジェネリックも販売されていて、比較的ポピュラーな薬のひとつですが、まだまだ研究の余地がありそうだと言えます。